わさび辞典
【 山葵(わさび) 】
アブラナ科の多年草で、日本特産。学名は「Wasabiajaponica」。冷涼な気候を好み全国各地の谷間に自生したり、渓流に造成されたわさび田で栽培されて、香辛料や漬物として利用されている。
本わさぴは、水がきれいで水温が年間を通して13〜16Cであり、水の量や流れの強弱が一定で、日差しをさえぎるための落葉樹があるなど様々な条件が揃った土地でないと育ちません。
食用の歴史はきわめて古く、奈良時代の『本草和名』にも記載されており、延喜式にも各地から貢納されていた記録がある。
【 粉わさび・チューブわさび 】
粉わさぴは、本わさぴを粉末にしたものと思っている人も多いのではないでしょうか、じつは紛わさぴに使用されているのはワサビダイコンといって、わさぴとはまったく関係のない野菜。
ワサビダイコンは育てやすく値段も安い(1kgあたりでは本わさび1万円に対しワサビダイコンは2千円程度)とあって、ずっと紛わさぴにはワサビダイコンの粉末が使用きれてきたのです。
また巷に出回っているチューブ入り生わさぴも、CMでは本わさびをそのまま使っているような表現となっていますが、実際は原料のほとんとが北海道産のワサビダイコン。香りと色付けのほとんどが添加物によるものなので、味も香も本わさびとは全く別物です。
【 山葵の辛味 】
わさぴの辛みの素となるシニグリンは、ミロシナーゼという酵素によって分解されてアリルカラシ油という辛み成分になります。このシニグリンとミロシナーゼは同じわさぴの中でも別々の紬胞に入っているため、細かくおろして混ぜ合わせることが必要なのです。
古くからわさぴおろしに鮫の皮が用いられてきたのも、鮫の肌の表面の粒子が細かいことを利用したもの。普通のおろし金しかない場合は、おろしてから包丁でたたくように刻むと辛みが引き出されます。
また、砂糖・塩などをおろし板に少し付けてからわさびをおろすと、酵素の関係で細胞から辛味成分が引き出されいっそう辛くなります。
【 山葵醤油 】
わさびは、お醤油で溶くと辛さと香りが半減してしまいます。
お刺し身を食べる時はぜひ、お刺し身の上に直接わさびをのせて、下にお醤油をつけて召し上がってください。
また脂が多い赤身の魚は、イカやヒラメなどの白身の魚よりも辛みが抑えられる傾向があります。ですから、赤身のお刺し身にはわさびを多めに、白身には少なめに、というのもポイント。
−方蕎麦(そば)の薬味として使う場合は、鮫皮おろしでおろすと粘りが出てつゆに溶けにくくなるため、普通のおろし金でおろしたものが向いています。
【 わさび栽培の始まり 】
わさぴ栽培の発祥の地は静岡市有東木です。
およそ400年前の慶長年間(1596〜1615)頃有東木の村人が、わさび山の渓谷一面に自生しているわさびを採って、「井戸頭」という湧水地に試しに植えたのが始まりだと伝えられています。
当時大御所として駿府城に居を構えた徳川家康公に献上したところ、家康公は、ことのほか愛好し、門外不出の御法度品になったと伝えられています。その後、わさびの栽培技術が全国に有東木からひろまっていきました。
【 美味しいわさびの見分け方 】
美味しいわさびを見分ける事はとても大変なものです。わさびは品種によって辛味、風味が全く違ううえ、品種の数は数限りなくあります。
外観からわかる大まかな見分け方として次の2点を注意して見てみましょう。
1点は、外観が新鮮で緑が鮮やかなものを選びましょう。
新鮮なものはやはり美味しいです。また緑の部分に特に辛味、風味が詰まっています。
2点目は、しっかり時間をかけて栽培されているものを選びましょうこれは、芽のあと(わさびは茎を落としながら成長していきますが、その茎の落ちたあと(芽のあと)に、とぎれとぎれのらせん状のあとが残ります)それが多いものは時間をかけて栽培された証拠ですので、そういったものはその分辛味・風味が蓄積されています。そういったものを選びましょう。
門前より・・・もし勇気がありましたら、こっそりかじる方法が確実ですが(^^;、勇気のない方は当方にご連絡下さい。品質の確かなわさびのみを時間をかけて栽培しております。
【 わさびの美味しい食べ方 】
とれたてのわさびの香りは格別。一般には手に入れることのできない有東木わさびの食べ方は定番のお刺身お寿司のほか、ステーキ、焼肉、わさび丼、おそば、とろろご飯、わさび茶、冷奴などいろいろあります。
門前より・・・わさびの門前ではいろんな食べ方をレシピ付きでご紹介。
大変珍しいわさびの花や、わさび農家でしか手に入らないわさび原料もお譲りしています。
「わさび漬け」「わさびのり」「茎のこんぶ漬け」など、 ここでしか手に入らない本場のわさびを味わうことができます。
【 わさびの花 】
わさびは季節に関係なく一年中収穫することができます。ただし、わさびの花が咲くのは2月下旬から4月にかけて。
冬の光から春に変わるとき、眠りから目覚めたように花茎が伸びて十文字の可愛い白い花を咲かせます。
わさびの花は、わさびの茎と同様に食べる事が出来ます。またしっかり辛味もあります。
いちおしの食べ方は、天ぷら!!爽やかな苦味と独特の風味は珍味中の珍味です、是非一度召し上がれ!
【 わさびと湧水 】
わさびは清流でないと育たないと言われていますが、本当のところ最適なのは「温度の一定したきれいな湧き水」が正解。
日照条件、気温、水温など、わさびは大変環境を選ぶ作物です。特に水温に関しては、年間を通 して15℃前後の水温が要求されます。 人間が服を着るように、わさびは、夏は冷たく冬は暖かく感じるきれいな湧き水に包まれて育ちます。