そば打ち風景
(1)
そば粉と割り粉はそれぞれ別々に篩い(ふるい)に通してから合わせる。
粉は使う前に必ず篩い通しする。
粉のひと粒ひと粒まで、よくほぐしておくためである。
これはそばやうどんに限らず、粉を使う場合には必ず行う作業である。
(2)
水を加えてかき混ぜていくと粉は、徐々に小さい塊ができてくる。これを続けていると、塊は徐々に大きくなる。
更に手のひらで塊を転がしていくと、塊が潤いを帯び親指ぐらいの大きさになる。
(3)
木鉢の中に広がっていた塊(かたまり)を寄せ集める。
潤いを帯びて粘りの出てきている塊ひとつひとつを、更に結びつきを強くするためひとつのまとまりにする。
(4)
この時、なるべく中に入っている空気を抜くように更に練っていく。
(5)
玉の端に指をかけながら、手首まで当て、押しつけるようにして練る。
右手でグッと押したら左手で少し回し送る要領で一巡する。
これをもう一度繰り返してそば玉ができる。
最初からここまでが約3分。
これ以上時間をかければ、そばに手の熱が加わり食感が良くない。
(6)
周辺を、押し広げたら真ん中に残っている山を掌で押す。
これを3回ほど繰り返す。
(7)
手で押した後のムラをとるように、中央から先端へ少しハズミをつけるようにしていく。
また先端に行くにつれて徐々に力を抜いていく。
(8)
これから、「基礎の延し(じの)」で円盤にしたものを麺棒に巻き「四つ出し」にしていく。
四つ出しとは、麺棒に巻いたそばを転がしながら正方形にしていく作業である。
これは、そばをこれから延して行く仕事には、大事な作業である。
(9)
そばを柏餅状にかぶせてから両手で押さえながら手前まで引き戻してくる。
そしてたるみができないように巻く。
(10)
左手前から斜め奥へ巻き解いていく、このときそばが正方形になっていることを確認する事。
(11)
麺棒に半分ほど巻き取る。
(12)
麺棒を使いそばが約2ミリ程度になるまで延していく。
このときに大事なのは延しムラを見分ける眼だと言う事だ。
延しムラは色でわかる。
色の濃いところは→厚いところ。
色の薄いところは→薄いところ。
この変化は、あくまでも微細・微妙なものである。
又その上には打ち粉のムラもある。
やはりこれは、経験と見る眼を養う事である。
(13)
延し終えたそばをたたみ、上に打ち粉を振りそばを切る。
包丁を真直ぐにして駒板の枕に当て、包丁を前へせり出すようにして、下まで完全にそばを切る。
手首をわずかに返して駒板を送る(ずらす)これを一連の動作でリズムよく行っていくとそばが切り揃っていく。
(14)
打ち粉を良く振り落とす。
(15)
これで皆様にお送りするそばの出来上がり。
ここまでの所要時間約15分。