あんこうについて

茨城の郷土料理「あんこう鍋」

江戸の昔から、あんこう鍋は安くて身体の温まる料理として庶民の間で食されていましたが、昭和に 入ると食べさせるお店もなくなってしまいました。 山翠のあんこう鍋は、吾子夜鍋(どぶ汁)の味わい を最大限に残す為、秘伝の焼きみそで味付けをする創業当時の調理法を頑に守っています。 食べ頃は10月から4月頃までが最もよく、ふぐにまさる味として喜ばれております。 鍋・肝・供酢ともに秋から早春にかけておすすめしたい茨城の郷土料理です。

西のふぐに東のあんこう

鮟鱇(あんこう)は、つぶれたような平たい姿、大きな頭、巨大な口には鋭い歯が並ぶちょっとグロテスクな見た目に似合わず、その味は淡泊でさっぱりしています。しかも捨てるところがない魚として有名で、皮の部分のゼラチン質が鍋などにすると絶品です。

西のふぐに東のあんこうと並び賞されるあんこうは、茨城を代表する冬の味覚です。茨城では晩秋から早春まで県内各地であんこう料理が楽しめます。

あんこう鍋や唐揚げ、中でも、あんこうの肝臓(あん肝)はファンが多い珍味。世界の三大珍味のフォアグラよりもあん肝のほうが実味しいという人もいるくらいです。

あんこうの七つ道具

背骨の周りも出汁になり、基本的にあんこうは顔(歯や目)そして骨以外のすべての部位が食べられます。余すところなくいただくことができるという意味で、アンコウの七つ道具という言葉が使われます。まさしく捨てるとこのない魚です。

一. 正味
アンコウの身の部分。白身で淡白。

二. かわ(皮)
コラーゲンたっぷりで味もあり、代表される部位。供酢が代表的な一品料理。

三. エラ
ほかの魚ではあまり食べられませんが、アンコウでは鍋に入れて食します。

四. キモ(肝)
別名アンキモ。アンコウを美味しくしてくれる代表的な部位であり、「海のフォアグラ」とも呼ばれている。

五. 水袋(胃袋)
胃袋には特徴があり、入り口に歯のようなものが上に2か所、下に2か所ある。丸呑みにした魚が逃げられないように「返し」になっている。

六. ヒモ(卵巣)
平板状のためにそう呼ばれる。

七. ヤナギ
柳肉。頭の部分を焼いて食します。

低カロリーで高い栄養

あんこうは超低カロリーの食材で、魚介類の中でも非常にカロリーの低い種類です。身はやわらかく淡白で、刺身や唐揚などにすると上品な味わいが楽しめます。胃や卵巣、ひれ、皮、えらなどは弾力性に富んだ食感が特徴で、鍋などにすると噛むほどに味が出ます。大人気のあん肝は栄養の宝庫です。その脂肪はDHAなどの多価不飽和脂肪酸を多く含み、血中の中性脂肪やコレステロールを下げる働きあります。肥満抑制や動脈硬化・脳血管病などの予防に効果的です。

その他にも脂溶性ビタミンが多く含まれ、骨を丈夫にするビタミンD、抗酸化作用で老化を抑制するビタミンE、眼精疲労を回復し、抵抗力を高めるビタミンA。そして、鉄・亜鉛・銅などのミネラルも多く含んでいます。これらの栄養をいっぺんにとることのできるアンコウ鍋は、健康食と言ってもいい食材です。

吾子夜鍋

現在のあんこう鍋は、味付けに工夫をこらし、より洗練された味にしあげていますが、その昔漁師たちが「どぶ汁」といって食べていた、今でいうあら汁のような単純な料理が原型と言われています。漁にでた男達(親や子)を迎えるために、浜の女達は、火を炊いて、心をこめて「どぶ汁」をつくり舟の帰りを待ちました。舟は火を目当てに戻ってきたと言います。このような背景をもとに、吾子夜鍋=アコヤナベ=(夜、我が子を待つ鍋)と言う名が残っています。

あんこうは大食漢

関東の河豚(ふぐ)と呼ばれる「あんこう」は、10月〜4月位にかけて水揚げされます。茨城沿岸から福島県小名浜沖にかけてとれるあんこうが最も美味しいといわれ、江戸時代に将軍家に献上されたという話も残っています。

あんこうの種類は多いのですが、いちばん美味しいといわれる「ほんあんこう」は、準深海魚で150m〜200mの海底に棲んでいます。普段は海底に寝そべっていて殆どといってもいいほど動かず頭の上にある俗に言う“ちょうちん”をひらひらさせながら小魚をおびきよせ、水ごと呑み込んでしまうような、ものぐさなさかなです。しかしときのは水面まで浮上してきて水鳥をひと呑みし、浮力がついて沈めなくなったところを漁師につかまった・・というような話もある面白い魚で、全身胃袋かと思う程の大食漢です。

あんこうは女性上位

一番おいしいのはホンアンコウという種類ですが、それよりやや小さいチョウチンアンコウは、メスが巨大なのにオスはごく小さく60分の1ぐらいしかありません。しかも全身が生殖器で生まれるとすぐメスの下腹に取りついて、メスの体から栄養分を吸収して生きているという不思議な魚です。

あんこうのつるし切り

あんこうは、身体が大きく全体がゼラチン質でおおわれている為、また板の上ではとても切ることができません。そこで昔から「つるし切り」という方法がとられてきました。

まず、天井のかぎに下あごをひっかけて吊るし、口から水を入れて安定させてから包丁を入れます。ヒレをはね、皮をむき、腹を裂くと、中から肝・水袋(胃袋)・ヒモ(卵巣)がでてきます。最後に中骨についた正身をはがすと残りは頭と中骨だけの姿になります。これを「あんこうの吊るし切り」といい、魚屋の梁に掛けられたあんこうは冬の風物詩でした。
鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる  加藤楸邨

あんこう料理の例

どぶ汁

新鮮な生のあん肝をお鍋で乾煎りして味噌とだし汁を加えた、当店独特な濃厚なお鍋に仕上がっています。

あん肝

海のフォアグラとも呼ばれるあん肝を蒸してさっぱりとポン酢か、あん肝を練り込んだ酢味噌で頂くあん肝は別格です。

供酢

新鮮なあんこうを湯通して正身、皮、胃袋、卵巣などの部位を、当店自慢のあん肝を練り込んだ酢味噌で是非お召し上がりください。

柳焼

あんこうのなかで一番美味しいほほ肉を焼いて召し上がっていただきます。
※こちらの商品は数に限りがありまして、 ご注文出来ない場合がございます。

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